【第4章 閑話休題】 後宮の厨房は妃候補の夕餉の準備で毎回てんやわんやだ。それというのも、その〈妃候補〉達の気まぐれで、ほぼ毎回品書きの変更があるからだ。やれ、この料理は嫌いだ、やれこの野菜は食べたくない、今日はこの果物が食べたい等々…。「まったく、我儘にもほどがあるわよね」「まだ妃候補ってだけなのにね」「今からこれだと、お妃が決まった後はどうなるのかしらね」「うわ…考えたくもないわ」 厨房の女官た...
後宮の厨房は妃候補の夕餉の準備で毎回てんやわんやだ。それというのも、その〈妃候補〉達の気まぐれで、ほぼ毎回品書きの変更があるからだ。やれ、この料理は嫌いだ、やれこの野菜は食べたくない、今日はこの果物が食べたい等々…。
「まったく、我儘にもほどがあるわよね」
「まだ妃候補ってだけなのにね」
「今からこれだと、お妃が決まった後はどうなるのかしらね」
「うわ…考えたくもないわ」
厨房の女官たちは、流石というべきか…手を動かしながらおしゃべりをしている。しかもその動きに無駄なものは一切ない。急に告げられた品書き変更された料理も次々に出来上がっていく。
せめて作る前に変更が分かれば良いのだが、あらかた出来上がった後の変更には本当に参る。
無駄になった料理は必要なくなったとはいえ、女官である自分たちの口に入ることは許されていない。つまりは廃棄処分。後宮の妃候補たちが口にするものは王の物よりは劣るとはいえ、それなりに高級だったり珍しい物だったりするのだ。それが無駄になる事でも女官たちは良い思いを抱いていない。
「でも…ほら、ハヌルさんのところの…」
「ああ、チェギョン様ね。あの方の我儘は聞いたことがないのよね」
「それって、あのハヌルさんに言いくるめられてる…とか?」
「あら、それはないわね」
おしゃべりを聞いていたヒスンがチェギョンの分の食事を皿に盛りつけながら話に入ってきた。
「ご本人に直接お話を伺ったんだけど。私たちの仕事ぶりを見てそれは感心されててね。」
「そうなのよ~」
ヒスンが盛り付けの終わった皿を台車にのせながらスニョンも話に入ってきた。
「どうしても食べられないものは残してしまうかもしれないけど、作ってくれる私たちに感謝してるからって」
「へぇ~。女官の私たちの事を気にかけてくれる妃候補なんて聞いたことないわ」
「あの方はそういう方よ。王陛下がお気にいられてるって噂もあるけど…あの方が第一位の妃になってくれたら後宮にも新しい風が吹くかもね」
ちょうど配膳の時間になった。
それぞれの妃候補たちの要求通りに作られた料理を間違えないようにそれぞれの部屋に運び出す。
それらを見送り、残った女官は調理器具の片づけに入る。それが終わると翌朝の食事の材料のチェックをしていると、食事の終わった部屋から食器が戻ってくる。
あれこれ品書きに注文を付けてきたくせに食べ残しが多い。
その食器の後片付けが終わるとようやく後宮の厨房も一息つける時間だ。
そんな彼女たちの働きぶりをこっそり観察している人物が一人。
女官長のスヨンである。
不定期でこうして厨房の観察も行っている。現場から上がってくる報告書だけでは本当の事はわからない。
ふ…と、スヨンの口角が上がる。これではあの脱走癖がある王と同じではないか。結局はおのれの目で見た事実がすべてなのだ。
「女官長様!どうされましたか?」
ちょうどチェギョンの部屋から食器を下げてきたヒスンが厨房の入り口に佇むスヨンに気づいて声をかけてきた。
「いえ、厨房長に話があってきたのだけれど…」
「すぐに呼んでまいります」
ヒスンが急いで奥へと駆けていく。その背中を見つめ、スヨンは自分が女官として王宮へ入ったばかりのころを思い出し、小さな笑みを浮かべた。
チェギョンが茶会の席からいなくなったと報告を受けたハヌルはたいして驚きもしなかった。
ただ、王が最初にチェギョンだけが居なくなったのに気づき、それをさりげなくそば付きの内官に伝え、茶会自体は何事もなく続けられた。その内官がチェギョンの部屋までやってきて、ハヌルに事の次第を伝え、やはり部屋にも戻ってきていないことがわかると苦笑いを浮かべて帰って行った。
茶会参加に強制はない。それは誰もが知っていることだし、参加したからと言って途中で席を退席したって咎められるものでもない。しかしさすがに王もその場にいるのだから、何かの理由で退席するならそれなりの挨拶があってしかるべき…だが。
他の妃候補の娘たちも、もうチェギョンの行動に目くじらを立てたりはしなくなっていた。あまりに自由奔放すぎる性格に、自分は妃になるつもりなどないと思っていることがなぜだか知れ渡っていたからだ。ただ、王が気に入っているのだけは目障りではあったが、〈毛並みの変わった猫〉を王が気に入っているだけ、そう思うことにした。だって、万が一にもチェギョンが妃の指名を受けることがあったとしても、第一位の妃にはなれない。それだけの理由をチェギョン自身が背負っている事を知っているからだ。実家の財力はもちろん、有力な後見人にすら他の妃候補の娘たちには勝てない…のだから。
ただ一つ、心配なのは…。
夕食も終わり、ハヌルは鏡と向き合っているチェギョンの背後に立った。そして櫛を手に取るとチェギョンの長い髪を梳く。
茶会の席から黙っていなくなったことに関して、女官の立場からそれなりに説教じみた小言を伝えられはしたが、チェギョンの自由さにハヌル自身ももうあきらめにも似た感情を抱いていた。チェギョンが言うには庭の花があまりにきれいだったので一人ふらふらとその場を離れてしまった…らしい。
後宮にいる限り、外の…王宮の外に出ることはできないのだから大丈夫、だと。
「明日、離宮の皇太后さまお二方の主催で花見の宴が開かれるそうです」
「ええ~~…」
語尾がしぼんだチェギョンの感嘆の声。鏡の中に映るチェギョンの表情はあまりにもわかりやすかった。
「茶会のように出席に強制がないのとは違い、この宴は皇太后さまより正式に妃候補の皆様に招待状が渡されるものです。顔合わせの儀
の夜の宴のように、今回仮病は使えませんのでご承知おきを」
「う…っ。そうなのね」
「はい。宴の席は自由に着飾って出席しても良いとお達しも出ておりますので、この私に支度はお任せください」
チェギョンは顔合わせの儀の時の事を思い出す。
あの時も簪やらなにやら装飾品をハヌルが先行投資だと言って用意してくれた。いくら実家が裕福だからと言ってそれにいつも甘えるわけにはいかない。あの時の装飾品はそれなりに豪華なものだったし、それをまた身につければよいだけの事だ。
「あのね、ハヌル。装飾品は以前のもので大丈夫だからね」
「いいえ。皇太后さま主催の宴への出席を一度は断っているのです。お顔を覚えてもらうためにも今回の出席は大きな意味がある者ですから、それなりに着飾らないと」
チェギョンは今日の茶菓に席にやってきた東の皇太后の顔を思い浮かべる。彼女は自分の事を知っていた。西の皇太后の事は知らないけれど、今日の状態のまま明日の宴に出席するのはひどく気が重い。
「宴の準備もありますので、明日の座学はお休みになると女官長より通達も出ております」
勉強が無くなったと聞いてパッとその表情が明るくなる。
「ちょうど絵師のガンヒョン様より姿絵の件についてお部屋においでになりたいと申し出もありますので、早めに支度を整えておきましょう」
再びチェギョンの表情ががっかりしたものになる。
あまりにわかりやすい感情の表れにハヌルは笑みを浮かべた。
「それでは、寝台の支度も終わっておりますのでお休みください」
チェギョンはもそもそと立ち上がると、無言のまま寝台の布団にもぐりこんだ。
チェギョンの部屋を退出したハヌルは、自分の部屋がある女官用の長屋へと戻ってきた。
この長屋は今回のお妃候補に仕える女官専用のものだった。普通の女官はよほど出世しない限りは2~3人で一部屋を使うのが常だが、王の御代で一代限りの妃選びのためということもあり、ここの女官は一人一部屋が与えられていた。
すでに仕事を終えてのんびりしている女官もいれば、まだ戻ってきていない女官もいる。
ハヌルは自室に戻ると自分のために茶を入れて一息ついた。
そして、夕方の事を思い出して眉をひそめた。
チェギョンが茶会からいなくなった事に関してはおおよその理由がわかっている。
自らを〈猫の世話係〉とチェギョンに名乗った王女…ヘミョンが後宮に姿を見せたのは、チェギョンに小言を言ったその後だった。
それなりにへこんでいるようだったのでお茶と菓子を部屋に運んできたところだった。
「まあ〈猫の世話係〉様」
ハヌルの前に姿を見せたヘミョンに向かってわざとそう呼べば、ヘミョンは小さく口を尖らせた。
「だって、そう名乗るしかないじゃない」
いくら女官の格好をしているとはいえ、ヘミョンの顔を知っている者も数人はいるのだ。ハヌルはヘミョンを自室へと案内した。
「東の皇太后さまがチェギョンに会いに行ったそうよ。何を話したのかはわからないけど、彼女になにやら詰め寄っていたみたい。なにか本人から聞いている?」
「いえ、チェギョン様は庭の花をもっと眺めたくなりその場を離れた…と」
「ふーん…。念のために聞くけど」
「もちろん、そんな理由信じてはおりません。東の皇太后さまに会ったことが原因なのは間違いないでしょう」
「私が思うに、王が気に入っているというチェギョンを確かめたかったのだと思うわ。そしてあれこれ聞いたのじゃないかしら。皇太后として…ね。彼女、王のためなら鬼にでもなれるから」
「ええ、そうですわね」
「で…チェギョンはまだお妃になる気はないと?」
「以前のように口に出すことは無くなりましたが、気持ちは変わってはいないようですね」
「お妃候補が妃にも側室にも選ばれなかった場合、女官として王宮に留まるか、実家に帰るか、それ以外の身の振り方については知ってるのかしらね」
「いいえ、ご存じないかと」
「そう。さすがにそこまでは女官長もまだ知らせてないわね…」
「ヘミョン様」
ハヌルの口から自分の名が飛び出したことで、ヘミョンは人差し指を唇に当てて言った。
「ここでの私は〈猫の世話係〉」
「…猫の世話係様。何を企んでおいでなのです?」
「企むだなんて人聞きの悪い。東の皇太后さまがチェギョンを妃にしたくないと思っているのなら、当然、あれこれ仕掛けてくるでしょう。妃候補同士での諍いは後宮を追い出されるしきたりだけど、生母が妃候補をどうしようと関係ないものね。私、チェギョンの事が好きなの。妹のように思っているのよ。だって、たった一人の弟は外宮に住んでいてなかなか会えないし、せっかく王宮にきても王の命令であちこち動き回っていてお母様の元に挨拶にも来れないくらい」
ヘミョンが企んでいることがなんとなくわかったような気がしてハヌルの目が細くなる。
「王太弟様は王陛下の良き片腕となり国政を担っているようですね。王陛下の妃選びが終わった後で王太弟様も妃を娶らねばならないでしょうが…。まさかと思いますが」
「東の皇太后さまはチェギョンを王の妃にはしたくないと思っている。チェギョンは王の妃にはなりたくないと思っている。これって、東の皇太后さまがとやかく言わなくたって何とかなりそうじゃない?なのに、どうしてチェギョンの前に姿を現したのかしら?」
ヘミョンは自分が望んでいることを口には出さない。が…。
「お父様は第一位の妃を置かなかった。東の皇太后様と私のお母様を同位の妃として扱い…。王と王太弟はわずか三日違いで生まれた。先に生まれたものが王位継承権第一位となるはずだったのに、お父様は弟を王太子にしようとした。それは何故?そして、あれだけお元気そうだったお父様が病に倒れなくなってしまったのは何故?」
「私は後悔しています。あなた様にあの事件の事を話したことを」
「聞きたいとせがんだのは私。あなたは悪くない」
「しかし…」
「代々王宮に仕える家系に生まれたあなたが、お母様に仕えることになり、今はチェギョンに仕えている、ということはそういうことなのでしょう?あなたはチェギョンが王宮にとって必要な人間だと理解している…」
ハヌルはぐっと唇をかみしめた。
「先々代の御代にもあなたと同じ名前の女官がいたと…お父様から聞いたことがある。王宮に仕える人物には同じ名前を付けることがあなたの家のしきたりなんですって?」
「王女様…」
先ほど咎められたのだが、ハヌルはあえてヘミョンをそう呼んだ。
ヘミョンはにやりと笑いを浮かべ…。
「チェギョンをよろしくね。お母様も気にかけていたから」
ヘミョンは踵を返し部屋を出て行った。
その後で妃候補付き女官たちに、明日皇太后主催の宴が開かれることになった…と、知らせが回ってきたのだった。
「ヘミョン様は少しだけ勘違いしていらっしゃる。私の家系は確かに代々王宮に仕えるもの。でもそれはたまたま〈そこ〉が王宮であっただけ…」
ハヌルはそう呟き、チェギョンの笑顔を思い浮かべるとほっと一息ついた…。
翌朝。
後宮中がバタバタしている…ような感じがする。
後宮の一番奥に位置するチェギョンの部屋にもその気配が伝わって来るくらいだから相当だろう。なぜバタバタしているのか、その理由は明らかだ。
今夜開かれる皇太后主催の花見の宴である。
皆、朝から準備に余念がない…らしい。
チェギョンは、と言えば。ハヌルにいつもより早くたたき起こされ、朝っぱらから浴室へ放り込まれてしまった。髪を洗い、体の隅々まで下女に磨き上げられた。その後で慌ただしく朝食を食べ、ハヌルが用意した、それまでチェギョンが見たこともない豪華な衣装に袖を通し、薄化粧を施され現在に至る。
間もなく昼食だが、花見の宴で普段通りの食事は腹に入らないだろうというハヌルの言葉から、昼ではなくおやつの時間にそれなりの食事をしようと思っていた。
では、今何をしているかと言えば…。
「チェギョン様、もう少し右に顔を向けてください」
絵師ガンヒョンのキツメの声が部屋に響く。その指示通りチェギョンは顔だけを右に逸らす。
ガンヒョンの絵筆を動かす音だけが部屋の中に響いていた。それまでの墨一色で描かれた何枚かの下絵があたりに散らばっていて、それと今目の前にいる着飾ったチェギョンを見ながら絵の具を使って慎重に姿絵が描かれていた。
それまで、チェギョンは住んでいた地方の街で年に一度開かれる祭りにやってくる似顔絵師に顔だけは描いてもらったことがある。しかしそれは即興で書き上げるものであるため、線は雑で顔だけの何ともぼんやりしたものだった。
ガンヒョンが今描いているのは、大きな紙にチェギョンの全身が描かれる物だった。しかもとても繊細に描かれているらしく、ちらりと見ただけでチェギョンは他人から自分の姿がそう見えているのかと感心し切りだった。
ガンヒョンの手がせわしなく絵具皿の上を行き来する。何本もの筆が入れ代わり立ち代わり紙に色を乗せていく様は見ていて飽きない。覗き込み過ぎてついつい前のめりになりすぎるとガンヒョンから先ほどのように指示が飛んでくるのだ。
やがて、ガンヒョンは静かに筆を置いた。
「ふむ…」
自分の描いた絵姿とチェギョンを見比べ、ガンヒョンは小さくため息を一つ。
「まあ…こんなものでしょう」
そう小さくつぶやいて、チェギョンにもよく見えるように紙を持ち上げた。
「いかがですか?」
チェギョンは自分の絵姿をまじまじと見ると感動で頬をほんのり染め上げ、拍手をした。
「すごい!私じゃないみたい。まるで王女様みたいだわ」
「いえ、これは紛れもなくチェギョン様ですよ」
ガンヒョンがあきれたように沿う言葉を返すと、チェギョンはふわりとほほ笑んだ。
「これが後宮に飾られることになるの?」
「うーん、そうですね。これは初めて色を入れて描いたものですし。これをもとにきちんとしたものを描きたいと思っています」
「え?こんなに上手に描けているのに、これも本番用じゃないってこと?」
「たった半日で描いたんです。まだ線にも雑さが残っているし…。それに…」
「それに?」
ガンヒョンは意味ありげににんまりと笑みを浮かべた。
「今夜の宴は何が起こるかわかりませんし、その後のチェギョン様を描いてみるのも良いかも」
「何か起こるって…」
ぽかんとした表情のチェギョン。ガンヒョンは何もわかっていない様子のチェギョンに小さく頷きながら、たった今描き上げた絵姿をくるくると筒状に丸めた。
「私としては色々進展がある宴だと思いますよ。というか。この後宮にいる他のお妃候補の皆様やお付きの女官の方々、みんながそう思っているかと」
顔合わせの儀の夜に開かれた宴依頼の、大掛かりの宴なのは間違いない。しかも、初対面だったあの時とは違って、ずいぶんみんなこの後宮に馴染んでいる。王との茶会でそれなりに距離は縮まっている。
「王陛下は他の妃候補の皆さんとも交流を深めていらっしゃるし、毛並みの違った私の事は忘れてもらえると嬉しいのだけれどね」
チェギョンは椅子に座りながら足をぶらぶらさせ、衣裳がふわりと跳ね上がるのをぼんやりと見つめながらつぶやいた。
「それでは、また後日寄らせていただきますね」
絵の道具を片づけ終えたガンヒョンはぺこりと一礼して部屋を出ていった。
入れ替わりにハヌルが食事を運んで来る。
「さあ、今のうちにお腹を満たしておいてください。それから」
ハヌルの視線が部屋の隅に立てかけられているチェギョンの琴に向けられた。
「指馴らしをしておかれた方がよろしいかと」
チェギョンの口からそれは大きなため息が漏れた。
そう、ただの宴ではなかった。
昨日伝えられた花見の宴。花見…というからには何か余興が必要。東の皇太后は妃候補たちに何かすることを求めてきた。楽器の演奏でも良し、歌でも良し、舞でも良し…。とにかく、参加者を楽しませて欲しい、とのことだった。
まあ、はっきり言えば。妃候補として後宮に入るくらいの娘たちが、芸術方面に疎いわけがない、というわけだ。
東の皇太后は詩を詠むことにたけていたし、西の皇太后が施す刺繍は芸術品としても一級品であると知られている。王や王太弟は笛が得意だったし、王女は弦を使って音を出す琴の奏者として有名だった。
「馴らしは必要ないわ。いつも通りに弾くだけだもの」
どこか投げやりにも聞こえる言葉にハヌルの片眉が上がった。しかし、ハヌルはチェギョンに何か言おうとはしなかった。
机の上に並べられた食事をおいしそうに頬張るチェギョンを見て笑みがこぼれる。
「やっと見つけたのですよ…」
「?何か言った?ハヌル」
「いいえ。お食事の後は宴までお休みください。さすがに居眠りはできませんからね」
「居眠りなんてしないわよ」
ハヌルは柔らかな笑みを浮かべてチェギョンを見つめている。チェギョンはいつも通り、出された食事全部を平らげ、満足そうだ。
その後、チェギョンは一旦衣装を脱いで楽な格好に戻ると、布団にもぐりこむ。病気でもないのに明るいうちから布団に入るなど、子供の時以来だ。
お腹もいっぱい、暖かな布団。
チェギョンはすぐに睡魔に襲われ、そのままハヌルが起こしに来るまでぐっすりと眠った。


少しずつ――
込み入った事情が分かってきました
どうやらチェギョンは「王」と「王太弟」とふたりに出会っているようですね
東の皇太后、西の皇太后、それにヘミョン王女
それぞれが今回の妃選びの動向を注視し、そんな中ハヌルが動いている
最後のハヌルの言葉がキーワードですね
お話の続き楽しみにしてますね
いつもお話ありがとうございました